建設業の離職率は
本当に高い?
3年以内に辞める人の割合を、厚生労働省のデータから確認
「建設業界を辞めたいと思うのは、自分だけなのだろうか」。 そう感じている人に向けて、新卒入社後3年以内の離職率を整理しました。 建設業界を悪く見せるのではなく、数字をもとに現在の働き方を考えます。
建設業の離職率を見る※本ページは厚生労働省が公表した令和4年3月卒業者の 就職後3年以内離職率をもとに作成しています。
建設業の離職率は、
一つの数字だけでは判断できません
令和4年3月卒業者の3年以内離職率を見ると、 高卒者と大卒者では全産業平均との関係が異なります。
建設業に就職した高卒者
約10人に4人が3年以内に離職しています。 全産業平均の37.9%より3.5ポイント高い結果です。
建設業に就職した大卒者
約10人に3人が3年以内に離職しています。 全産業平均の33.8%より3.3ポイント低い結果です。
10人で考えた場合の目安
入社後3年以内に仕事を辞めることは、決して特殊な出来事ではありません。 一方で、全員が辞める業界でもありません。
建設業と全産業の離職率を比較
新卒で就職した人が3年以内に離職した割合を、 高卒者と大卒者に分けて比較します。
就職後3年以内の離職率
令和4年3月卒業者/単位:%
建設業41.4%に対して全産業37.9%。 建設業の方が3.5ポイント高くなっています。
建設業30.5%に対して全産業33.8%。 建設業の方が3.3ポイント低くなっています。
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
厚生労働省の公表ページを確認する
建設業だけが、
特別に離職率の高い業界とは
言い切れません
大卒者の3年以内離職率では、宿泊・飲食サービス業や 生活関連サービス業、教育、医療・福祉、小売業など、 建設業より離職率が高い業種があります。
そのため「建設業だから辞める人が多い」と単純に結論づけるより、 学歴、会社規模、職種、仕事内容、配属先なども含めて見る必要があります。
大卒者の3年以内離職率
離職率が高い上位5産業と建設業の比較
- 1 宿泊業・飲食サービス業 55.4%
- 2 生活関連サービス業・娯楽業 54.7%
- 3 教育・学習支援業 44.2%
- 4 医療・福祉 40.8%
- 5 小売業 40.4%
- 比較 建設業 30.5%
出典:厚生労働省「新規学卒就職者の離職状況(令和4年3月卒業者)」
離職率を見るときの3つの注意点
公的な数字は判断材料になりますが、 その数字だけで自分の進路を決めることはできません。
「3年以内離職率」のデータです
今回の数字は、新卒で就職した人が入社後3年間で離職した割合です。 建設業で働く全世代の年間離職率を示した数字ではありません。
辞めた理由までは分かりません
人間関係、休日、給与、体調、家庭事情、キャリアアップなど、 離職理由はさまざまです。離職がすべて悪い結果とは限りません。
建設業の中にも多様な仕事があります
施工管理、設計、積算、保守、点検、営業、専門工事など、 職種が変われば働き方や負担も大きく変わります。
「建築業」ではなく、統計上は「建設業」
厚生労働省の産業分類では「建設業」という区分が使われています。 この中には建築工事だけでなく、土木工事や設備工事なども含まれるため、 本ページでも統計を説明する部分では「建設業」と表記しています。
「建設業を辞めたい」のか、
「今の働き方を変えたい」のか
辞めたい理由を分けて考えると、 建設業界に残るべきか、別の業界へ移るべきかを判断しやすくなります。
休日、残業、転勤、給与、上司との関係など、 会社ごとの差が大きい問題かを考えます。
現場常駐が合わない場合でも、保守・点検、積算、設計補助など、 経験を活かせる別職種があります。
現場環境や業界特有の働き方そのものが合わない場合は、 他業界への転職も現実的な選択肢です。
心身の不調が続いている場合は、転職活動より先に休養や 医療機関・公的相談窓口への相談が必要なこともあります。
選択肢は、建設業界を辞めることだけではありません
建設業界で条件を変える方法と、経験を活かして他業界へ進む方法。 自分の悩みに合う方から情報を集めてみましょう。
経験を活かしながら、働き方を変える
建設業界で培った経験を活かし、会社・職種・担当分野を変える方法です。 未経験転職よりも、給与や経験を維持しやすい可能性があります。
- 休日や残業条件の良い会社を探す
- 新築から改修・保守・点検へ移る
- 転勤や現場常駐の少ない職種を選ぶ
- 資格や経験を評価する求人を比較する
建設業界で身につけた力を、別の仕事で活かす
安全管理、工程管理、調整力、現場対応力などは、 ドライバー、製造、設備保守など他業界でも活かせる可能性があります。
- 仕事の負担や生活リズムを見直す
- 現場経験を活かせる業界を探す
- 未経験でも入りやすい仕事を比較する
- 一時的な年収低下も含めて検討する
建設業を辞めたいと思うことは、特別なことではありません
厚生労働省のデータでは、建設業に就職した高卒者の41.4%、 大卒者の30.5%が入社後3年以内に離職しています。
この数字から分かるのは、仕事を辞める人が一定数いることと、 建設業だけが特別に離職の多い業界とは言い切れないことです。
「辞めたい自分は弱い」と考える必要はありません。 ただし、数字だけで転職を決めるのではなく、会社を変えれば解決するのか、 職種を変える必要があるのか、他業界へ移りたいのかを整理してみましょう。